「大西洋子午面循環(たいせいようしごめんじゅんかん:Atlantic meridional overturning circulation = AMOC)」とは,大西洋において南半球と北半球にまたがる海水の南北鉛直循環のこと。
大西洋の上層(深さ約1000m以浅)では北向きに流れ,北大西洋高緯度域での海水の沈み込みをともない,下層(深さ約1000〜3000m)では南向きに流れる。
つまり,AMOCは大きなベルトコンベアのように機能し,南半球や熱帯地方から北半球へ暖かい水を送り,そこで冷やされて沈み込み,再び南へと戻す海流システム。
世界の海洋を巡る深層循環の一部を担うとともに,気候の形成や変動に重要な役割をもつ。おもに海水の密度差に起因する力によって流れが生じ,風や潮汐のエネルギーによって維持されると考えられている。
この働きによって,(いまのところ)欧州は温暖な気候となっている。
しかし,現在,地球温暖化によってAMOCの循環を支える熱と塩分のバランスが崩れ,
今世紀中に崩壊する可能性さえあると予測する研究がある。
20年前以上に公開された映画「デイ・アフター・トゥモロー」の世界が現実となる可能性があるということ。

オランダ・ユトレヒト大の海洋・大気研究者らは最新の複雑な気候モデルを用いて,AMOCが80%弱体化し,産業革命以前と比べて地球の気温が約2℃上昇するというシナリオを想定。AMOC崩壊後,気候が安定していく数十年で何が起こるかをシミュレーション。
結果は地球が温暖化している状況でも欧州では冬の平均気温が大幅に低下し,極寒の度合いが増すなど,「大幅な寒冷化」が見られるとのこと。これはAMOCが崩壊して気温が上昇し続けることが明らかになった米国とは異なる状況。
ここは映画とは違う。
海氷は南下し,スカンジナビア,英国の一部,オランダまで広がると予測。氷の白い表面が太陽エネルギーを反射し,冷却効果を増幅するため,極寒の度合いが著しく高まると推測。
英国ロンドンでは冬の気温が-19℃まで下がる可能性がある。ノルウェー・オスロでは最低気温が-48℃となり,年間の46%は最高気温が0℃を下回る。また,欧州の一部では嵐の度合いも高まるという。欧州の南北で気温差が拡大することでジェット気流が強まり,北西部上空で嵐の強度が増すとのこと。
AMOCの崩壊はおもに欧州の冬季に影響をおよぼし,それが進むにつれ,夏季には深刻化する熱波に見舞われるともみられる。
すでに,それらの兆候は毎年のようにニュースになっている。
一方,南半球では温暖化が進むと予測。地球の気温が産業革命以前の水準より約4℃上昇すれば,その熱が欧州でのAMOCの崩壊による冷却効果を上回り,「温暖化のシグナルが勝つ」とも。
AMOC崩壊がもたらす影響は気温や異常気象だけではなく,それにともない食糧危機やそのほかの危機も巻き起こすかもしれない。
大西洋だからと言う「対岸」のことではない。
あしたもよろしくお願いします。