野球小僧 season16

丸坊主にして自由な時間をなくしてまで,青春をそこに注ぐことに意味がある。

公表(こう-ひょう)

「公表(こう-ひょう)」とは,一般的に公的機関や企業などが,正式な情報として世間に発表すること。「公表をはばかる」「選挙結果を公表する」など。

さて,米国スタンフォード大の佐々木麟太郎選手の交渉権を獲得した福岡ソフトバンクホークス。

事前にリストアップしていたことを公表はしていませんでしたが,ドラフトまえにスタンフォード大で視察しており,球団関係者は,「大学にまで見に行ったのは確か。(継続して)調査してきましたし(リストから)消す必要はないですよね」と話していたとのこと。

しかも,さかのぼって調べてみますと前日のスポーツニュースにも指名の可能性が取り上げられていました。

もちろん,横浜DeNAベイスターズはリストアップしており,埼玉西武ライオンズもリストアップしていたことを肯定。ほかにも数球団はリストアップしていたと推測。

唯一公表していたのが東京ヤクルトスワローズ。それでも最終的に1位入札は回避したのはホークスやベイスターズと違って入団リスクを考えて,確実に戦力アップできる選択をしたからでしょうね。

実際にリストアップしていたかは不明ですが,1位で石垣元気選手(健大高崎高)の交渉権を獲得した千葉ロッテマリーンズ・サブロー監督は,「うちは余裕ないですからねえ。やっぱり余裕あるチームが指名してたと思うんですよ。ちょっと賭けでもありますよね。来てくれたら面白いですけど」とコメントしていますので。

さてさて,NPBドラフトでの指名選手の事前公表は,現在ではルールで定められた制度ではありません。

ただ,いつごろから始まったのかはくわしくはわかりませんが,あえて事前に1位入札選手を公表したりしています。

公表する目的はいろいろあるでしょうけど,「他球団に指名させないよう(つまり競合しますよ)とけんせいする」「ファンへのアピール」などがあるのでしょう。

ただ,2020年(8球団が公表),2022年(9球団が公表)のように,ほとんどの球団が公表してしまうとドラフト会議のおもしろ味が減ってしまうのですけどね(それでも,育成選手指名の終了までTVを見ている私ですが)。

2019年以降の事前公表

■2025年:3球団
竹丸和幸 投手(鷺宮製作所)
 → 読売ジャイアンツ
立石正広 内野手(創価大)
 → 広島東洋カープ
小島大河 捕手(明治大)
 → 埼玉西武ライオンズ

■2024年:1球団
宗山塁 内野手(明治大)
 → 広島東洋カープ

■2023年:5球団
武内夏暉 投手(国学院大)
 → 埼玉西武ライオンズ,福岡ソフトバンクホークス
西舘勇陽 投手(中央大)
 → 読売ジャイアンツ(報道を肯定)
常広羽也斗 投手(青山学院大)
 → 広島東洋カープ
度会隆輝 外野手(ENEOS)
 → 中日ドラゴンズ

■2022年:9球団
吉村貢司郎 投手(東芝)
 → 東京ヤクルトスワローズ
曽谷龍平 投手(白鷗大)
 → オリックス・バファローズ
イヒネ・イツア 内野手(愛知・誉高)
 → 福岡ソフトバンクホークス
蛭間拓哉 内野手(早稲田大)
 → 埼玉西武ライオンズ
浅野翔吾 外野手(香川・高松商高)
 → 読売ジャイアンツ
荘司康誠 投手(立教大)
 → 東北楽天ゴールデンイーグルス
斉藤優汰 投手(北海道・苫小牧中央高)
 → 広島東洋カープ
仲地礼亜 投手(沖縄大)
 → 中日ドラゴンズ
矢沢宏太 投手(日体大)
 → 北海道日本ハムファイターズ

■2021年:2球団
隅田知一郎 投手(西日本工大)
 → 埼玉西武ライオンズ
風間球打 投手(秋田・ノースアジア大明桜高)
 → 福岡ソフトバンクホークス

■2020年:8球団
佐藤輝明 内野手(近畿大)
 → 福岡ソフトバンクホークス,埼玉西武ライオンズ,オリックス・バファローズ,読売ジャイアンツ
早川隆久 投手(早稲田大)
 → 千葉ロッテマリーンズ,東京ヤクルトスワローズ
伊藤大海 投手(苫小牧駒大)
 → 北海道日本ハムファイターズ
高橋宏斗 投手(愛知・中京大中京高)
 → 中日ドラゴンズ

■2019年:6球団
佐々木朗希 投手(岩手・大船渡高)
 → 埼玉西武ライオンズ,千葉ロッテマリーンズ,北海道日本ハムファイターズ
奥川恭伸 投手(石川・星稜高)
 → 東京ヤクルトスワローズ
石川昂弥 内野手(愛知・東邦高)
 → 中日ドラゴンズ
森下暢仁 投手(明治大)
 → 広島東洋カープ

ちなみに公表の類義語として,「漏洩(ろうえい)」「リーク」「発覚」「暴露」などの言葉があります。

NPBドラフト指名情報の事前リークはいろいろありますが1985年のKKドラフト事件が有名。

当時,PL学園高の桑田真澄さんと清原和博さんは5回の全国大会出場で優勝2回,準優勝2回という記録を残した。2人はKKコンビと呼ばれ,ドラフトでも大注目。

清原さんはプロ入り志望で,読売ジャイアンツを熱望。ジャイアンツ以外では中日ドラゴンズ,阪神タイガースなどセントラル・リーグを希望。桑田さんは大学への進学を表明し,ドラフト会議後に早稲田大の入学特別選抜試験を予定。

このため清原さんの指名競合が予想され,桑田さんへの指名は回避されると思われたのですが,ドラフト会議ではジャイアンツは桑田さんを1位で単独指名して交渉権を獲得。

これは,当時,西武ライオンズの球団管理部長だった根本陸夫さんが,「桑田がドラフト1位で指名されなければ外れ1位または2位で指名する予定」ということをドラフト直前にリーク。そのため,ジャイアンツは桑田さんを単独1位指名して阻止したという。

その後,12月12日に清原さんのライオンズ入団が発表され,桑田さんも早稲田大の入学試験を辞退しジャイアンツ入団。

桑田さんは早稲田大受験中止後の記者会見で,「自分の初志を貫徹したということです。ジャイアンツ1位だったら入ると考えていたし,それ以外だったら早稲田と決めていました」と答えています。

真相は藪のなか。

あしたもよろしくお願いします。